消費者心理調査 168
(2006年10月実施)
2006年11月29日 14:00 発表
[12月調査は1月下旬発表予定]
物価見通しの改善により消費者心理に落ち着き
― 物価上昇懸念は一段落、景況感は改善へ ―
消費者による今後1年間の見通し判断を調査したCSI(10月調査)によれば、
- 10月の消費者心理は145となって、8月(146)からわずかに低下(改善)となった。
- 消費者の景気、失業、収入、物価等に対する見通しの変化を反映した消費者心理の総合指標ともいうべき生活不安度指数は、05年10月(140)から前回8月(146)にかけて緩やかな上昇(悪化)を続けていたが、今回10月調査ではようやく歯止めがかかり、05年6月(133)以来、1年4ヶ月ぶりの低下(改善)を示している
- 10月の消費者の各種見通しを概観すると、6月、8月と悪化の続いた消費者の景況感は改善に転じ、[良くなる]を答えた人の割合は21.1%と再び20%の水準を上回った。「景気見通し指数」も、8月の67から10月は84まで上昇(改善)、6月(83)の水準を回復している。
また、物価の先行き見通しをみると、原油高等を受けて、[上昇]見通しは8月に71.4%まで高まっていたが、10月は57.4%と大きく減少し、一方、[下がる]と回答した人は2.2%で、8月からわずかに増加している。8月に消費者心理にマイナスの影響をもたらしたと思われる先行きの景況感や物価上昇の見通しは、今回10月調査では改善に転じる結果となっている。
これに対して、10月の雇用や収入の先行き見通しについては、8月からはほぼ横ばいの状態にある。雇用の先行き見通しについて、10月は[不安]と答えた人は66.4%、他方、[不安なし]と答えた人は28.0%となり、いずれも8月からわずかな減少となっている。同様に、収入の先行き見通しでは、10月は[減る]と回答した人が38.7%、[増える]と答えた人も8.9%と、それぞれ8月から微増、微減にとどまり、全体としてほぼ横ばいの状態となっている。雇用や収入といった家計部門の先行きに対する見通しは、依然として不透明な状態が続いている。
これらを背景に、10月の生活不安度指数は8月から−1ポイントの145とわずかな低下(改善)を示し、緩やかな上昇(悪化)基調にようやく歯止めがかかっている。
- 調査の実施された10月上旬は、前回8月調査時点で一段の上昇のみられたガソリンの小売価格が値下げに転じ、さらに、原油相場も一時の高騰から徐々に落ち着きを取り戻しつつあったことで、消費者の景況感の先行き見通しの改善や物価[上昇]見通しの減少につながったと思われる。一方で、雇用と収入の先行き見通しについては、消費者は、依然として慎重な姿勢を崩しておらず、好調な企業業績が、家計部門にはまだ充分に反映されていない様子もうかがうことができる。雇用と収入が消費者の“実感”として改善することで、今回、悪化基調に歯止めのかかった消費者心理も、先行き反転、改善へと向かうことが期待される。
- なお、10月調査の不動産や自動車、耐久財の今後1年間の購買態度については、8月と比べて、不動産(8月94→10月105)は大きく上昇(改善)、自動車(同90→93)もやや上昇(改善)しているものの、耐久財(同104→101)はやや低下(悪化)となっている。