一般社団法人日本リサーチ総合研究所

理事長短信

平成29年8月

理事長 藤岡文七 前回のご報告より若干間があいてしまいました。最近、本邦企業のM&A活動については、信じられないような(外部から見れば)失態としか思えないような事例が次々と明るみにでてきました。専門家はそれをPMI(ポスト・マージャー・インテグレーション)の失敗等とか技術面からの指摘を行っていますが、「見て見ぬふり」の隠蔽体質を含め経営責任にかかる本質的な問題を提起しているのではないでしょうか。M&Aは大きなリスクを伴う投資行為です。少なくとも経営責任幹部は、総合的な知見を十分踏まえ、部下に断片的に任せることなく不十分な情報の下で判断していくことを迫られます。特に国境を超えるM&Aの場合、事前準備を重ねても、誤った情報や(恣意的な)偽りの情報が少なくなく、あらゆる情報が不確定の中で次々と多くの判断が求められると思います。しかし、危険だからといって有用な投資行為であるM&Aの活用を避けていますと、危機先送り体質になり(日本全体がそうなりつつありますが・・・)、投資で持続的な発展をしなければならない会社組織はもとより社会そのものも突然潰れざるをえません。本邦企業経営者や幹部には、特に資金が潤沢な成熟化社会における基本的な投資行為としてのM&Aについての理解を深めていただきたいものだと思います。

 小職は、本年に入って、一般社団法人日本ベトナム経済フォーラム(JVEF)の専務理事も兼ねており、ベトナム国ダナン市との投資促進プロジェクトが動き出した関係で、その関連業務を専ら推進しています。本年11月、ベトナム国ダナン市に於いてAPEC首脳会議が開催されます。ダナン市は、この機会に、ダナンへの投資促進を重要なイベントと位置付け、中でも日本企業の投資獲得と企業誘致を最重点課題としています。
昨年末、日本ベトナム経済フォーラム(JVEF)は、フィン・ドゥック・トー ダナン市人民委員会委員長(市長)の依頼を受け、ダナン市及びダナンハイテクパーク(DHTP)と投資促進に係る覚書を締結しました。そのキックオフとして、本年9月14日午後1時、東京にて「APEC VIETNAM 2017−ダナン投資促進セミナー in 東京」をダナン市と共に開催します。ダナン市を中心とする地域への本邦企業の投資展開についてご案内申し上げるとともに、ご提案をさせていただきたく存じます。
(詳細及び参加申し込みは、日本ベトナム経済フォーラムHP http://jvef.org に)

 ダナン市は人口100万人を超えるベトナム中部を代表する大都市でありながら、アジアの他の大都市と比べて人々の生活環境は、かなり保全されており、歴史と文化の香りが豊かで着実に発展しつつある都市です。まずは、本年11月のダナンにおけるAPEC首脳会議を契機として、アンカー企業及びすそ野産業等の進出・育成、大都市インフラ整備への本邦企業の協力、本邦企業向け高度人材育成、複雑な手続きと制度等の課題の克服、企業等関係者の生活環境整備等について、ダナン市とともに取組みます。体系的で実践的な提案を行い、持続的に発展する都市モデルとして構築しつつ、ベトナム国にも制度や考え方の変革を提案し、両国のwin−win 関係を作り出すことができればと考えます(ダナン・プロジェクト)。
本邦企業のアセアン諸国投資は、グリーン・フィールド投資から本来のM&A型投資(企業連携投資)に移行する時期に来ています。ベトナムの場合、現状を見れば、企業の管理者層も十分ではなく高度人材育成もこれからですが、現在の若者が日越の経営者層に育っているころには、日越連携でアジア規模での連携経営を行っていると思われ、またそのような条件が揃わないと我が国の持続的な発展もないと考えています。

 小職は1990年代から21世紀初めにかけて日米貿易摩擦や内外投資促進や投資促進におけるM&A文化の育成に係る政府の担当管理職を務めておりました。両国とも経緯や性格は異なりますが、民族・地域資本の考え方があります。日越の現状を踏まえ、段階を経ての日越企業の連携(M&A)の推進が図れればと思います。特に、中小企業においては、不足がちな若手労働力をアセアン諸国に求め、アジア規模での持続的経営や進出に活路を見出そうとする動きも出てきており、ベトナムだけでなく、我が国の考え方や制度もそれに合わせて改革していく必要があります。
 弊研究所においても、日本ベトナム経済フォーラム(JVEF)と連携して、中小企業のためのベトナムを中心とするM&Aセミナーを準備したいと考えています。ご関係の皆様におかれましては、ご協力賜れますようよろしくお願いいたします。

藤岡 文七

一般社団法人 日本リサーチ総合研究所理事長
一般社団法人 日本ベトナム経済フォーラム専務理事・事務局長